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6月23日(土)に行われた東京学芸大学附属国際中等教育学校(TGU ISS)の公開研究会に、本校から渡邉と佐々木が参加してきました。

第6回目となる今回の研究会のテーマは、「グローバル社会に生きる資質・能力の育成〜国際バカロレアの教育システムに基づく『学びの地図』作成へ〜」です。

学習指導要領の改訂告示を受けて

みなさんご存知の通り、小学校・中学校・高等学校の新学習指導要領が、2020年より順次全面実施されます。

今回の学習指導要領の改訂は、特に高等学校での教科・科目の再編、大学入試の改革等で注目を集めてきました。いわゆる「高大接続」の取り組みです。

そして、日本の学校教育の長年の課題であった知識偏重型からの脱却が謳われ、資質・能力をベースにした教育へと、大きく舵を切ろうとしています。

 

教科・科目の再編で言えば、社会科における「歴史総合」や「地理総合」の設置、新教科である「理数」の設置、各教科における「探求」科目の設置などが挙げられます。

また、大学入試改革で言えば、センター試験に代わる新統一テストへの論述問題の導入、英語科における4技能を重視した民間検定試験の導入などが注目されています。

学芸大附属校(TGU ISS)の取り組み

さて、中学校の新学習指導要領の全面実施は2021年度から、高等学校は2022年度からになります。もうすぐですね。

多くの中学・高校では、新学習指導要領の告示を受けて、すでに全面実施に向けた様々な取り組みが始められています。

教科書会社も、これからどんどん新学習指導要領に対応した新しい教科書を制作・発行していくことでしょう。

 

今回の公開研究会を開催したTGU ISSも、新学習指導要領を見据えた教育改革に積極的に取り組んでいる学校の一つです。

「資質・能力の育成」にどう取り組んでいくのか。

それが今回の主題となっています。

 

また、TGU ISSは、2016年度より国際バカロレア(IB)のディプロマ・プログラム(DP)を実施する「DPクラス」を設置し、2017年度に初めての第1期卒業生を輩出しました。

IBの導入校としても学ぶところが多くあります。

他にも、文部科学省のSSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)およびSGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)に指定され、それぞれの研究活動に取り組んでいる学校です。

公開研究会の様子

では、公開研究会の様子を写真で紹介していきたいと思います。

公開授業

まずは公開授業の様子です。1限目は高校2年生の物理基礎でした。

(写真は撮らなかったのですが、公開授業の前に全体の基調講演もありました。)

 

基礎的な理論を集中的に学んだ後、自分たちで実験を設計し、データの取得からプレゼンまでを行う授業です。

この日も生徒たちがいくつかのグループに分かれて、積極的に実験に取り組んでいました。

公開授業の2限目は、高校3年生の化学です。

こちらはDPクラス。国際バカロレアのカリキュラムで行う授業です。

DPには内部評価(IA;インターナル・アセスメント)のための研究課題があり、生徒たちはその研究計画を立てているところでした。

 

この日は2人の生徒が研究計画を発表し、友達や参観した先生方からコメントやアドバイスをもらっていました。

内部評価の性質上、教科担当の先生は生徒の計画にアドバイスや修正を加えることができません。

そのため、生徒たちは参観する外部の先生方からアドバイスをもらいたくて、公開研究会をとても楽しみにしていたそうです。

プレゼンテーションをした2人だけでなく、全ての生徒が研究計画のポスターを作って、付箋でコメントをもらえるよう工夫していました。

(課題研究はグループ研究ではなく、1人で行います。)

 

印象的だったのが、生徒の活発な議論です。

前で発表した生徒も、それにコメントをした生徒も、皆が自分の意見をはっきりと言っていました。

友達の研究に関心を持てること、すごいと思います。

「ここはこうした方がいいんじゃないか」など、互いに真剣に語り合っていました。

しかも楽しそう。とても良い雰囲気の授業でした。

 

DPクラスについては、公開研究会の最後に「DP情報交換会」という時間があって、第1期卒業生からDPクラスの魅力とDP生の大学進学準備について貴重な話がありました。

例えば1人の生徒は、「学校に行って学ぶことが楽しくて仕方なかった」と言っていました。

他の生徒もそれに同意していて、知的で刺激的な学問の魅力に触れられるカリキュラムだということです。素晴らしいですね!

SSHとSGHの研究発表ポスター

お昼休み。

校舎1階のロビーでは、このような形で高校生による研究発表が行われていました。

なかなか深い内容です。

例えば、「子どもの貧困」が学力に与える影響についてはすでによく知られているところですが、この学力格差をなくすにはどうすればいいかという視点から、「無料塾」の取り組みに着目した研究がありました。

無料塾の効果を検証したところ、有意な効果が認められたということです。

こちらはポスターの前で研究発表をする生徒。

流暢な英語で発表していました。

教科別協議会

午後からは教科別協議会がありました。

教科別協議会というのは、各教科に分かれての研究会です。

渡邉は理科の協議会に参加してきました。

理科の協議会はワークショップ形式で、「生徒の資質・能力を育てるにはどんな取り組みをしていけば良いか」という視点で、9つのグループに分かれて意見を出し合いました。

写真はグループでの話し合いの後の、発表の様子です。

写真を見ると、「批判的思考」とか「創造的思考」とか書いてありますよね。

国際バカロレア(IB)では、子どもの資質・能力として次の10個のスキルを挙げています。

  1. コミュニケーションスキル
  2. 協働スキル
  3. 整理整頓する力
  4. 情動スキル
  5. 振り返りスキル
  6. 情報リテラシースキル
  7. メディアリテラシースキル
  8. 批判的思考スキル
  9. 創造的思考スキル
  10. 転移スキル

※これらをATLスキルと呼んでいます(ATL = Approaches to Learning)。

 

ワークショップで取り上げられた「批判的思考」とか「創造的思考」というキーワードは、IBが掲げるこれら10個のスキルに由来しています。

TGU ISSの理科教員で上記10項目を整理したところ、理科と特に関係の深い項目として「批判的思考」「創造的思考」「振り返り」の3つが抽出されたそうです。

そこで今回のワークショップではこの3つのスキルについて、話し合いました。

 

お題は、「どんな学習活動ができるか」と「どうやってその活動を評価するか」です。

渡邉は「創造的思考」のグループで話し合いましたが、なかなか難しいテーマでした。

 

それぞれが自分の学校で行ってきた実験や探求の取り組み、評価の方法などを出し合いました。

例えば、探求課題のテーマ設定をさせる、分解反応の粒子モデルを図で描かせ生徒同士で比較・討論させる、「もしも月がなくなったら」などの仮定について論理的に考えさせる、などです。

校内の様子

最後に校内の様子を少し。

校舎内の掲示板には美術館や博物館のチラシがたくさん貼られていました。

見ているだけで楽しくなります。

これを見て興味を持つ生徒もいるんだろうなと思うと、掲示板ってとても大事ですね。

敷地内は緑が豊かです。きれいなテニスコートもある!

こちらは校舎内に飾ってあった化石や岩石の標本。

実物が見られると、より一層興味が湧きますね。

そして、さらにすごいのがこちら。なんと「岩石園」なるものがありました。

植物園とか動物園とか、そんな感じで「岩石園」と命名したんでしょうが、大きな岩石標本が見られてとてもいい場所でした。

 

最後になりましたが、公開研究会を企画してくださったTGU ISSのみなさま、貴重な機会を与えてくださりありがとうございました。

 

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